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全くシステム構築プロジェクトやIT技術と関わり合いがなく展開しています。今回も関わり合いがありません。が、あくまでもそこへ応用的に議論を展開させていくための基礎資料と思って我慢して読んでいただければと思います。


さて、先週の金曜日の続きを書いていきたいと思います。

フランスでビジネスを展開する上での、初期費用は10億円

  • 一年目の予想利益は100万円
  • 二年目の予想利益は500万円
  • 三年目の予想利益は1000万円

でゴーかノーかをちょっと考えみてくださいってこれでしたね。

総利益100万+500万+1000万=1600万で、10億>>1600万なのでノーとした方が多いでしょう。

イニシャルコストが回収されない、という点に目をつけたのはとても良いと思います。 しかし、この考え方はお金の時間的価値を無視してしまっています。


お金の時間的価値って急に言われても困ると思いますのでここで簡単に抑えておきましょう。

今日1億円もらうのと1年後1億円もらうで、あなたはどっちが良いですか? 迷わずに今くれと言いますよね。

  • 今すぐに投資にまわせる。
  • 大規模投資に使わなくても1年間、郵便貯金にいれておくだけで利子分儲けられる。
  • 1年間の間に何か起きて(自分が死ぬ、日本の貨幣価値が変わる,etc..)、1億円がもらえなくなる可能性がある。

など大きくみると時間の経過に伴う運用利益リスク回避の二つの理由があると見てもよいでしょう。

もしこれが今日1億円もらうのと1年後1億1千万円もらうのどっちが良い、と聞かれた場合どういう反応をするでしょうか?

ちょっと迷ってしまいますよね。

1年後に1億円+運用利益リスク回避の分が上乗せされていれば今1億円もらうのと同じ価値になると言えると思います(理論的に)。

この例のように、お金の価値は時間によって変わってしまいます。 1年後の1億円と今の1億円は同じ価値になりません。


そこで前述の例に戻ると「総利益は100万+500万+1000万=1600万」というのはおかしい話ということになります。お金の時間的価値を無視してしまっているとはこのことです。

3年間の利益を総和して考える場合は、まず時間的基準を設ける必要があります。

この例は以下のように整理できるか、と思います。

0年目 1年目 2年目 3年目

-10億 100万 500万 1000万

そして0年目を基準とするには、1年目の100万を、2年目の500万を、3年目の1000万を0年目の時点での価値に修正する必要があります。


なじみの無い人にはかなりな話だと思いますが、もう少しおつきあいください。

1年後に1億円+運用利益リスク回避の分が上乗せされていれば今1億円もらうのと同じ価値になると言える、と先ほど書きましたが、これと逆のパターンを考えていただければと思います。

1年後に1億円となるには今はいくらの価値か?ということです。理論的に言えば、1年後の金額から運用利益リスク回避''の分を差し引けば良い訳ですよね?これによって得た値が現在価値(Present Value=PV)というものです。そしてこの換算手順を割引'''と言います。

利率ってありますよね。銀行にお金を貯金しておくと一定の率でお金が入ってくるというものです。10%の利率というと例えば100万貯金した場合1年後には110(=100*1.1)万になり、二年目には121(=110*1.1=100*1.1^2)万になります。

公式的に書くなら

t年後の価値=現在の価値×(1+利率)^t

となるでしょう。

これを元に「現在の価値=」に変換してみましょう。

現在の価値 = t年後の価値 / (1+利率)^t

この式が割引の基本的な形です。割引の場合、利率の部分が割引率(discount rate=r) となり

現在の価値 = t年後の価値 / (1+r)^t

という形になります。割引率は例でみると利率から来ていることからわかるように利回り、期待収益率を指します。(*この項目だけでも結構深いので、もうこれ以上はつっこみません。興味ある方はぜひお調べください。)


さて課題の方に戻りますが、このプロジェクトの利益をもう一度確認してみましょう。

0年目 1年目 2年目 3年目

-10億 100万 500万 1000万

割引率をrにしたまま0年を基点してそれぞれの現在を出してみましょう。

0年目 1年目   2年目     3 年目

-10億 100万/(1+r) 500万/(1+r)^2 1000万/(1+r)^3

この値の総和がこのプロジェクトの正味現在価値(Net Present Value=NPV)になります。

正味現在価値は投資に対する収益、利益が複数年にわたってある場合のプロジェクトの価値をはかる上で有効になります。何回も繰り返してきていますが、1年後の100万と今の100万は価値が変わります。

はい、ここまでが前回の課題のファーストポイントでした。

このように複数年の収益を現在価値に換算して判定し、NPV>0かNPV<0でプロジェクトのゴーかノーかを選択することが相当合理的に見えます。

課題の例で言えば、r=10%とした時

0年目 1年目のPV 2年目のPV 3 年目のPV

-10億 約91万   約413万  約751万

NPV = -10億+91万+413万+751万=-98,745万

となりNPV<0となり、このプロジェクトはノーだろ、というのが妥当ということになります。


しかし、前回のプランに野心的な、将来的にはヨーロッパ全域に広げる、という話とかもありましたよね?また3年後に他の企業に売却してしまうという選択肢もありますよね?

残念ながらその選択肢の価値はこの現在価値を出すやり方(こういうのを割引キャッシュフロー法(discount cash flow=DCF)などと言うのですが)に反映されていません。

前回で熱海行きのややくだらない例をあげたのですが、いかなる計画も選択肢地獄です。その選択肢の価値まで考慮に入れるのがリアルオプションというものです。

いよいよ次回はリアルオプション本編に突入し、ITに関するプロジェクトの話を取り入れていきたいと思います。

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